中国・アジア保険事情

経済レポート

世界における中国生保市場(2021年)【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(53)

■要旨 Swiss ReのSigma「World insurance:inflation risks front and centre」によると、2021年、中国保険市場の世界シェアは引き続き第2位であった。ただし、新型コロナの再拡大、市場の健全化などの影響で、保険料収入は小幅な増加となった。保険の普及度合は引き続き世界平均以下で、保険商品にアクセスできていない人をどのように包摂していくかが課題となっている。 ■目次 1――2021年、中国保険市場...

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韓国の生命保険市場の現状-2020年と2021年のデータを中心に-

■要旨   韓国の生命保険協会が2021年12月に発表した「生命保険性向調査」によると、2021年における生命保険の世帯加入率は81.0%で、2018年の86.0%に比べて5.0%ポイントも低下した。   最近加入した生命保険商品は、疾病保障保険(42.8%)、実損填補型医療保険(22.7%)、災害傷害保険(16.6%)、死亡保障保険(6.2%)が上位4位を占めた。   2020年の収入保険料は、特別勘定の収入...

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中国インシュアテックの水滴、米上場1年後のプレゼンス-地方小規模都市への集中・自社向け独自商品で業績好調へ

■要旨 2021年5月、逆風吹き荒れる中、中国のインシュアテック企業である水滴公司は米国ニューヨーク証券取引所への上場を果たした。上場後1年が経過し、国際情勢や新型コロナウイルスの感染状況が大きく変化する中で、同社は着実に成長をしている。その成長のカギは、地方・小規模都市への集中と、60社にものぼる保険会社との連携による独自商品の提供である。 ■目次 はじめに 1――プラットフォーマーへの規制に転換の兆し。デジタル経済による国内経済の下支えに期待...

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ネット保険の需要拡大(中国)-加速する生保経営の再構築【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(52)

■要旨 中国では、近年、社会のデジタル化の進展に伴ってネット保険の需要が拡大している。新型コロナウイルス感染症は、非接触型のネット保険の販売拡大に追い風となったが、「人」を介した販売を中心とする保険代理人チャネルにとっては向かい風となっている。更に、生保経営の健全性強化が進められている中で、保険商品や販売のあり方に構造的な変化が起きている。 ■目次 はじめに 1――2021年、ネット生保の需要が大幅に拡大。市場占有率は9.3%へ上昇。 2――直...

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コロナパンデミック下のインドネシア生保市場(2)-2020年のインドネシア生命保険市場の概況-販売チャネル、資産運用、収益動向-

■要旨 インドネシアの生命保険市場について、保険料収入、普及度合い、主力商品の状況を見た4月19日の『コロナパンデミック下のインドネシア生保市場(1)』の続編として、今回は、販売チャネル、資産運用、収益動向を見る。 インドネシアの生保市場は伝統的に専属保険エージェントをメインチャネルとして運営されてきたが、近年は銀行を通じた生保販売(バンカシュランス)が最大シェアを持つ販売チャネルとしての地位を獲得している。 2020年のコロナパンデミックでは、ソ...

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コロナパンデミック下のインドネシア生保市場(1)-2020年のインドネシア生命保険市場の概況-保険料収入、普及度合い、主力商品の状況-

■要旨 インドネシアの生保市場の概況を、今回と次回の2回に分け、計数図表とともに見る。 当フォーカスでは2019年6月にも、成長を続けるインドネシア生保市場の状況をレポートしているが、その後の3年の間に、同市場も、業績の停滞やコロナパンデミックに伴う後退を経験した。歴史ある生保会社が破綻し、ユニットリンク保険を巡る苦情が多発する等、生保事業への信頼を揺るがす事態も顕在化した。 近年、インドネシア生保市場の生命保険料収入は、2018年(+1.3%)、...

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3億人の‘新市民’市場と保険サービス(中国)

■要旨 中国において、3億人とされる‘新市民’向けの金融市場。しかし、ビッグテックによるオンライン金融事業への規制強化で、新市民向けのサービスが大幅に減少している。そこで、政府は市場が提供すべきサービスの指針を示し、強力に後押しすることを表明。それによって新たな商品の開発やサービスの提供が始まっている。 ■目次 はじめに 1――‘新市民’とは? 2――3億人という新たな保険市場の浮上 3――新...

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中国の生命保険市場(2020年版)基礎データ

■要旨 2020年の中国生保市場は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも堅調に成長した。収入保険料ベースでは米国に次いで2位となるなど、世界におけるプレゼンスも向上している。 ■目次 1―市場概況 2―商品構成 3―販売チャネル構成 4―保険金、解約払戻金の支払い状況 5―主要な保険会社の業績状況 6―資産運用状況 7―収支状況 8―世界における中国生命保険市場の位置づけ2020年の中国における生命保険(健康保険、傷害保険などを...

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ミャンマーの生命保険市場(2020年)

■要旨

ミャンマーは、南北2000キロ、東西925キロに及ぶ国土を有し、67万6577平方キロ(日本の約1.8倍)の面積を持つ、インドシナ半島最大の国である。人口は5441万人、GDPは約838億米ドル、一人当たりGDPは1413ドルとなっている。

首都はネーピードーで、人口は約50万人である。なお、人口最多のヤンゴンの人口は約515万人である。主要民族は人口の約7割を占めるビルマ族で、その他多くの少数民族が存在する。

1962年以降、軍事政権下にあったが、1997年のASEAN加盟後も欧米から経済制裁を受ける等、国際社会からも半ば孤立した状態が続き、経済発展も他のASEAN諸国に比べて遅れていたが、2015年の総選挙で、2016年に、アウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)による政権が発足、民主化の進行とともに、経済も順調に発展し、「アジア最後のフロンティア」として諸外国からも高い注目を浴びていた。

2020年11月の総選挙で、NLDが圧倒的勝利を収め、今後、より一層の民主化が予想されたが、そういった中、2021年2月1日、ミャンマー国軍によるクーデターが勃発、状況が一転した。スー・チー氏はじめとする政権幹部が拘束され、ミン・アウン・フライン国軍総司令官が立法・行政・司法の全権を掌握しており、直近でも企業撤退も相次ぐ等、先が見通せない混沌とした状況が続いている。

生保市場については、経済の発展が遅れていたこともあり、未発達で、2020年時点の浸透率(GDPに対する生保収入保険料の割合)は0.05%と、他のASEAN諸国と比べても著しく低い。統計も整備されておらず、限られた情報の中ではあるが、ミャンマーの生保市場につき、概観することとしたい。

■目次

1―はじめに
2―ミャンマーの生保市場概況
3―収入保険料の内訳
4―販売チャネル
5―競合状況
6―おわりにミャンマーは、南北2000キロ、東西925キロに及ぶ国土を有し、67万6577平方キロ(日本の約1.8倍)の面積を持つ、インドシナ半島最大の国である。人口は5441万人、GDPは約838億米ドル、一人当たりGDPは1413ドルとなっている。

首都はネーピードーで、人口は約50万人である。なお、人口最多のヤンゴンの人口は約515万人である。主要民族は人口の約7割を占めるビルマ族で、その他多くの少数民族が存在する。

1962年以降、軍事政権下にあったが、1997年のASEAN加盟後も欧米から経済制裁を受ける等、国際社会からも半ば孤立した状態が続き、経済発展も他のASEAN諸国に比べて遅れていたが、2015年の総選挙で、2016年に、アウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)による政権が発足、民主化の進行とともに、経済も順調に発展し、「アジア最後のフロンティア」として諸外国からも高い注目を浴びていた。

2020年11月の総選挙で、NLDが圧倒的勝利を収め、今後、より一層の民主化が予想されたが、そういった中、2021年2月1日、ミャンマー国軍によるクーデターが勃発、状況が一転した。スー・チー氏はじめとする政権幹部が拘束され、ミン・アウン・フライン国軍総司令官が立法・行政・司法の全権を掌握しており、直近でも企業撤退も相次ぐ等、先が見通せない混沌とした状況が続いている。

生保市場については、経済の発展が遅れていたこともあり、未発達で、2020年時点の浸透率(GDPに対する生保収入保険料の割合)は0.05%と、他のASEAN諸国と比べても著しく低い。統計も整備されておらず、限られた情報の中ではあるが1、ミャンマーの生保市場につき、概観することとしたい。

 
1 ミャンマーの保険事情については、独立行政法人国際協力機構(JICA)、SOMPOリスケアマネジメント株式会社「ミャンマー連邦共和国民間保険分野に係る情報収集・確認調査ファイナル・レポート」2017年6月に、詳細に紹介されている。当レポート執筆にあたっては、上記ファイナル・レポートに加え、特に直近の状況やデータについては、AXCO Insurance Services “LIFE AND BENEFITS INSURANCE MARKET REPORTS”(Update October 2021) を幅広く参照している。

2―ミャンマーの生保市場概況

ミャンマーでは、1962年の軍事クーデターに伴い、翌1963年のすべての外国保険会社の国有化等を経て、国営保険会社による独占体制が続いた。

1996年、ミャンマー保険業法(The Insurance Business Law)が公布され、民間保険会社の設立、保険監督理事会(Insurance Business Supervisory Board) 2の設置が規定された。その後、2012年、民間保険会社12社の設立が承認され、国営保険会社の独占体制が終了し、2019年に外国保険会社5社(AIA、チャブ、英プルデンシャル、第一生命、マニュライフ)が100%子会社にて、3社(太陽生命、タイライフ、日本生命)が現地企業との合弁会社の形で認可されている。

2020年における生保浸透率(GDPに対する生保収入保険料の割合)は0.05%、一人当たり保険料は0.72ドル(2020年)と近隣諸国と比較しても著しく低い(表1)。AXCO Insurance Servicesによれば、2020年の収入保険料(暫定値)は、生命保険527億5631万チャット(約35億円)、損害保険3110億7475万チャット(約206.5億円)となっており、損害保険の方がかなり大きい。

経済成長に伴い、生命保険の収入保険料も対前年比で大幅な増加が続いていたが、2020年は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による実質GDPの対前年増加率の急減に伴い、収入保険料も対前年マイナス(▲7.1%)となった(表2)。
 
2 保険監督理事会は、2014年に保険事業規制理事会(Insurance Business Regulatory Board)に名称変更している。

3―収入保険料の内訳

ミャンマーでは、保険関係の統計は整備されておらず、具体的な商品ごとの販売動向は把握できないが、AXCO Insurance Servicesによれば2018年の生命保険会社の収入保険料合計の内訳は、(1)団体生命保険、(2)個人生命保険、(3)傷害・医療保険、(4)その他の割合は、(1)77.0%、(2)5.0%、(3)17.1%、(4)0.9%となっている(表3)。具体的な取扱商品は、保険会社によって異なるが、生命保険、養老保険、学資保険、医療保険、傷害保険等3があげられる。
 
3 小林直人「ミャンマーの保険事情」『保険・年金フォーカス』2019年7月16日では、国営のミャンマー保険と民間生保11社が、2019年にミャンマー初で取り扱いを開始した学資保険の概要について、また、同「ミャンマーの保険商品-健康保険の内容-」『保険・年金フォーカス』2020年7月21日ならびに同「ミャンマーの保険商品-健康保険の申込書の健康状態等に関する質問内容-」『保険・年金フォーカス』2020年9月4日では、健康保険の商品概要、告知書の記載内容について紹介している。

4―販売チャネル

保険販売は、保険会社の社員を通じて直接、もしくは保険代理店を経由して行われている。2019年には保険代理店として2000人が認められていたとの情報もあるが、そのうち活動しているのはわずかである模様。保険業法上は保険ブローカーも認められているが、現在、保険ブローカーは存在しない。

5―競合状況

先述の通り、国営のミャンマー保険が長らく市場を独占していたが、2012年に民間保険会社12社の設立が承認された。現在では、国営のミャンマー保険、国内生命保険会社8社、外国保険会社の100%子会社5社(AIA、チャブ、英プルデンシャル、第一生命、マニュライフ)、外国保険会社(太陽生命、タイライフ、日本生命)との合弁会社3社の計17社が生命保険事業を営んでいる。

個々の保険会社の市場シェアに関する公式な統計は存在しないが、国営のミャンマー保険とAung Myint Moh Min Insurance Companyの2社で市場シェアの大半(2018年実績では85%以上)を占めているようである。

6―おわりに

ミャンマーは、ほぼ1年前までは安定的に高水準での経済成長を続ける中、「アジア最後のフロンティア」と言われ、日本も官民一体となって支援を表明4する等、諸外国からの期待も大きかったが、クーデター発生により状況が一変してしまい、現在でも先が見えない状況が続いている。

各種報道の通り、日本を含めた海外企業の市場からの撤退も続いており、この状態が長引けば、再び経済が停滞する懸念も考えられる。日本の保険会社からの進出も少なくない中、状況については、引き続き、注視していきたい。
 
4 小林直人「ミャンマーの保険事情(その後)」『保険・年金フォーカス』2020年2月28日では、日本が官民一体となって策定した「ミャンマー保険セクター支援計画: COMPASS for the Future of Myanmar's Insurance Sector」の進捗報告書を日本からミャンマーへ手交したことが紹介されている。
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ミャンマーの保険事情(その後)
インド、アセアン諸国における個人向け損保商品のデジタル化の状況

経済レポート

アジア消費者、新型コロナウイルスにより家計・健康を懸念-6割強が収入途絶の場合貯蓄で生活できるのは1年未満、3分の2以上が何等かのメンタル不調を経験、健康アプリの使用や運動もさかん

■要旨 マニュライフは、2022年1月19日に、アジアの消費者8,276人を対象に2021年11月に行った調査結果を公表した。 同調査では、回答者の半数以上 は、新型コロナウイルスへの対応は、最低でもあと1年以上続くと予想するとともに、収入ならびに幸福な生活に対する懸念が続く中で、健康、デジタル化への対応、支出に関する習慣を変えた、と回答しており、これまで紹介してきたような、保険ニーズの高まり等に加え、新型コロナウィルスによる家計・健康への影響・懸念、行...