年金制度

経済レポート

中小企業の確定給付年金・確定拠出年金導入の動向

少子高齢化による公的年金支給額の実質的な低下が予測されるなか、個人の自助努力を担う制度の一つして企業年金に期待が寄せられている。企業にとっても、優秀な人材確保や生産性の向上に企業年金を利用してきた。企業年金を充実させるために、2001年には確定拠出年金(DC)、2002年には確定給付企業年金(DB)が導入された。しかし近年、中小企業を中心に企業年金を導入しない会社が増えてきており、その要因を検証する必要がある。 図表1は企業の退職給付制度の実施状況を示す『就業...

経済レポート

同一労働同一賃金と企業年金

昨年10月、法令解釈通知「確定拠出年金制度について」の一部が改正され、企業型確定拠出年金で「一定の資格」を定める場合には、「同一労働同一賃金ガイドライン」の「基本的な考え方」を踏まえることが明記された。 中小企業向け制度として創設され、昨年10月に実施可能な事業主の条件が、従業員100人以下から300人以下に拡大されたiDeCoプラス(中小事業主掛金納付制度)についても、企業型年金と同様とされることが定められた。 当該ガイドラインの対象である基本給や賞与...

不公平の解消が進むDC制度

確定給付企業年金(DB)などの確定給付型の企業年金を併用する場合の企業型DCの拠出限度額が将来的に見直される。 DBを併せて実施する場合の企業型DCの拠出限度額は、DBに加入しない者との間で不公平が生じないよう、企業型DCのみの場合の拠出限度額(月額5.5万円)からDBの掛金相当額を控除した額とすることが基本的な考え方となっている。 しかし現状では、全てのDBの掛金相当額は月額2.75万円で一律に評価されており、加入者一人当たりの標準掛金額が2.75万円...

DC拠出限度額の見直しで大筋合意

2020年11月に開かれた社会保障審議会の企業年金・個人年金部会で、確定拠出年金(DC)の拠出限度額を見直す案が大筋で合意された。同年5月にDCの企業型と個人型(iDeCo)の併用の要件を緩和するなどの法改正が成立し、直後の6月に開かれた同部会では、法改正後の課題のうち法改正の施行(2022年10月)と併せて対応すべき点を、税制改正のプロセスも考慮して優先的に議論する方針が確認されていた。7月には厚生労働省が見直し案を示し、8月には関係団体へのヒアリングが2度実施さ...

次期年金改革への課題

5月29日、新型コロナ禍下で年金改革法案が成立した。 企業年金・個人年金部会では、その直後の6月中旬から、確定拠出年金の拠出限度額など政令事項の改正に向けて議論が進められている。 私的年金での動きが活発な一方で、公的年金での動きは見えない。今年1月には、今夏にも有識者懇談会を設置という報道があったが、新型コロナの影響もあってか特段の動きは見られなかった。 国会審議では改正法附則の検討条項が追加され、多数の附帯決議も行われたが、そこから漏れている重要...

年金税制の課題―「穴埋め型」の紹介

昨年8月公的年金の財政検証が公表された。少子高齢化の影響から、検証の対象となった6つある人口・経済前提の中で楽観的な3つのケースでも、モデル所得代替率(専業主婦世帯の厚生年金給付の水準の現役世代の平均的な手取り賃金に対する比率を表す)が現在の61.7%から50~52%に低下する見込みである。これからゆとりある引退後の生活を送ろうとするなら、公的年金にある程度の私的な準備を上乗せする必要が高まりつつあることが確認された。 ここで広く、公的年金を補完しうる私的年金...

預金の県外流出と地域経済の今後

相続に伴う預金の県外流出の問題が新聞などでしばしば話題となる。離れた地域に住む親子の間で相続が発生すると、親が住んでいた地域の金融機関から預金が引き出されて、子の住んでいる地域の金融機関に預け替えがなされ、その結果、地域間で預金の流出・流入が生じるというのがこの話の基本的な構図だ。この話には続きがあって、預金の県外流出が生じた地域では貸出の元手となる資金が減り、地域経済にマイナスの影響がもたらされるとされる。だが、この見方は果たして正しいのだろうか。 このこと...