日本経済

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公定価格の見直しによる給料引き上げは適切か、その財源は

■要旨 岸田新総理は、新しい資本主義の下、成長と分配の好循環により所得の向上を掲げている。その中の柱の一つは、公定価格の見直しにより、仕事量と比べて所得が低いとされる介護職員や看護師、保育士等の給料を引き上げることで、民間の給与や所得を上げるための呼び水にするというものだ。   一方、財源については、消費税率の引上げ等の増税を否定し、成長を基本にするとしている。従来の制度の下で公定価格を引き上げた場合、サービス利用者の負担の増加や、保険料率の上昇...

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消費者物価(全国21年9月)-コアCPI上昇率は年末にかけて1%程度まで高まる見通し

総務省が10月22日に公表した消費者物価指数によると、21年9月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.1%(8月:同0.0%)となり、20年3月以来、1年6ヵ月ぶりのプラスとなった。事前の市場予想(QUICK集計:0.1%、当社予想も0.1%)通りの結果であった。 生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比▲0.5%(8月:同▲0.5%)、総合は前年比0.2%(8月:同▲0.4%)と1年1ヵ月ぶりのプラスとなった。...

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貿易統計21年9月-自動車の減少ペースが加速し、輸出は回復の動きが一服

財務省が10月20日に公表した貿易統計によると、21年9月の貿易収支は▲6,228億円の赤字となり、事前の市場予想(QUICK集計:▲5,192億円、当社予想は▲4,984億円)を下回る結果となった。輸出の伸びが8月の前年比26.2%から同13.0%へと大きく鈍化する一方、原油高の影響などから輸入の伸びが前年比38.6%(8月:同44.7%)と高止まりしたため、貿易収支は前年に比べ▲12,901億円の悪化となった。供給制約に伴う生産調整の影響で自動車輸出が前年比▲4...

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景気ウォッチャー調査(21年9月)~緊急事態宣言の解除決定で、景況感が大幅改善

10月8日に内閣府が公表した2021年9月の景気ウォッチャー調査(調査期間:9月25日から月末)によると、3か月前との比較による景気の現状判断DI(季節調整値)は42.1と前月から7.4ポイント上昇した。また、2~3か月先の景気の先行き判断DI(季節調整値)は56.6と前月から12.9ポイント上昇した。 地域別でみても、現状判断DI(季節調整値)、先行き判断DI(季節調整値)ともに、全国12地域中12地域で上昇した。両DIともに上昇幅が最も大きかったのは沖縄で...

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デジタル庁が目指す縦割り行政の打破

9月1日に、デジタル庁が内閣直轄の組織として発足した。2020年の総裁選後の本格的な検討開始から約1年という異例の速さで創設されたことになる。目指す姿として「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を掲げるデジタル庁は、デジタル社会の形成に向けた司令塔としての機能を発揮することが期待されている。 デジタル社会の形成に向けては、「デジタル社会に必要な共通機能の整備・普及」、「徹底したUI・UXの改善と国民向けサービスの実現」、「包括的データ戦略」等の方向性が打...

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岸田新政権によるスタートアップ支援への期待

9月29日投開票の自由民主党総裁選で勝利した岸田文雄氏が、10月4日召集の臨時国会で第100代の首相に指名される見込みだ。総裁選では、「成長なくして分配なし」とする一方で、「分配なくして次の成長なし」とも主張し、成長と分配の好循環による新たな日本型資本主義の実現、これまでの新自由主義的な政策からの転換を掲げた。「令和版所得倍増のための分配施策」として、子育て世帯の住居費や教育費の支援や看護師、介護士等の収入増などを打ち出している。一方の成長戦略としては、「科学技術立...

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雇用関連統計21年8月-緊急事態宣言長期化の影響で休業者が再び増加

総務省が10月1日に公表した労働力調査によると、21年8月の完全失業率は前月から横ばいの2.8%(QUICK集計・事前予想:2.9%、当社予想も2.9%)となった。労働力人口が前月から▲33万人の減少となる中、就業者が前月か▲32万人の減少となり、失業者は前月から1万人増の191万人(いずれも季節調整値)となった。 失業率は前月と変わらなかったが、就業者が減少する中で非労働力化進展が失業率の抑制要因となっており、内容は悪い。就業者数は前年差17万人増(7月:同...

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ニッセイ景況アンケート調査結果-2021年度調査

■調査結果のポイント ◆ 景況感は前回調査(2020年10月)より改善したものの、厳しい状況。先行きは小幅に持ち直す見込み。 ◆ 企業が抱える今後の人事上の最も大きな課題は、「従業員のモチベーション維持・向上」、「従業員の健康管理」。コロナ禍において従業員の雇用環境に課題を感じる企業が多いことが結果に。 ■調査結果要旨 I.景気動向 1.企業の景況感は改善、先行きは小幅な持ち直しを見込む 2.全9地域で景況感が改善 3.20年度は2...

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鉱工業生産21年8月-7-9月期は5四半期ぶりの減産へ

経済産業省が9月30日に公表した鉱工業指数によると、21年8月の鉱工業生産指数は前月比▲3.2%(7月:同▲1.5%)と2ヵ月連続で低下し、事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲0.5%、当社予想も同▲0.5%)を大きく下回る結果となった。出荷指数は前月比▲3.8%と2ヵ月連続の低下、在庫指数は前月比▲0.3%と2ヵ月連続の低下となった。 8月の生産を業種別に見ると、世界的な半導体不足と東南アジアからの部品調達難の影響で自動車が前月比▲15.2%となり、7月...

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消費者物価(全国21年8月)-コアCPI上昇率は13ヵ月ぶりにマイナス圏を脱する

総務省が9月24日に公表した消費者物価指数によると、21年8月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.0%(7月:同▲0.2%)となり、20年7月以来、13ヵ月ぶりにマイナス圏を脱した。事前の市場予想(QUICK集計:0.0%、当社予想は▲0.1%)通りの結果であった。 携帯電話通信料の下落率は7月の前年比▲39.6%から同▲44.8%へと拡大したが、前年の「Go Toトラベル」による大幅下落の反動で宿泊料が前年比46.6%(7月:...