欧州経済

経済レポート

始まったEUの財政ルールを巡る攻防-過剰債務国と倹約国の対立再び

■要旨   コロナ禍への対応のため、EUが一時適用を停止した財政ルールの23年度の再起動を念頭に置いた議論を進める段階に入った。タイミング以上に議論を要するのは、再起動に合わせてルールをどのように修正するのかという点だ。   コロナ前のルールは、ユーロ危機を教訓として修正したルールが適用されていたが、結果として、圏内の格差、景気循環を増幅し、公共投資の委縮(下図参照)を招いた。主要国では、財政事情が最も厳しいイタリアの公共投資は...

経済レポート

英国雇用関連統計(8月)-求人数はさらに増加、過去最高を更新

9月14日、英国国家統計局(ONS)は雇用関連統計を公表し、結果は以下の通りとなった。   【8月】 ・失業保険申請件数1は前月(225.19万件)から5.86万件減の219.33万件となった(図表1)。 ・申請件数の雇用者数に対する割合は5.4%となり、前月(同5.6%)から低下した。 【7月(5-7月の3か月平均)】 ・失業率は4.6%で前月(4.7%)から低下、市場予想2(4.6%)と同じだった(図表1)。 ・就業者は3235.7万...

経済レポート

欧州経済見通し-コロナ禍のなか経済活動正常化を進める欧州

■要旨   昨年春以降、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を大きく受けてきた欧州経済だが、最近は経済活動の正常化が進展している。EUのワクチン接種は8月に「夏の終わりまでに成人の7割が接種を完了する」という目標を達成した。   4-6月期の経済成長率は行動制限の緩和により2四半期連続でのマイナス成長から急反発し実質GDPの水準はコロナ禍後のピーク(20年7-9月期)を上回った。コロナ禍からの回復ではスペインが遅れている。また、ド...

経済レポート

公約から考えるメルケル後の独連立政権と政策

メルケル長期政権後を決める9月26日の独連邦議会選挙は、どう着地するのか。見極めは難しい。   理由は大きく分けて2つ。1つは世論の移り変わりが激しいことだ。支持率上位3党の首相候補が出揃ってから4カ月余り。この間、世論調査の支持率第1党は、「緑の党」から、メルケル首相の与党・中道右派の「キリスト教民主・社会同盟(以下、CDU/CSU)」へ、さらにメルケル政権の4期16年のうち、3期12年間、ジュニアパートナーとして連立政権を構成してきた中道左派の「社...

経済レポート

デジタルユーロプロジェクト始動-予備実験の知見と今後

■要旨   ECBは、デジタルユーロプロジェクトを立ち上げ、調査段階(investigation phase)の開始を決定した。10月から24か月間にわたって実施される予定。一方、デジタルユーロを発行するかについては決定を留保している。   調査段階では、まず今年末にかけて、デジタルユーロ導入の政策目的や利用に関する議論が行われ、22年前半には、秘匿性とEUの他の政策目的とのトレードオフが議論される。その後、金融システムや現金利...

経済レポート

ユーロ圏失業率(2021年7月)-失業率はさらに低下し、7.6%に

9月1日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。   【ユーロ圏19か国失業率(2021年6月、季節調整値)】 ・失業率は7.6%、市場予想1(7.6%)と同じで、前月(7.8%)から改善した(図表1) ・失業者は1233.4万人となり、前月(1268.4万人)から35.0万人減少した  1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。ユーロ圏の7月の失業率は7.6%と前月から...

経済レポート

ユーロ圏消費者物価(8月)-約10年ぶりに3%まで上昇

8月31日、欧州委員会統計局(Eurostat)は8月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。   【総合指数】 ・前年同月比は+3.0%、市場予想1(+2.7%)を上回り、前月(+2.2%)から加速(図表1) ・前月比は+0.4%、予想(+0.2%)を上回り、前月(▲0.1%)から増加 【総合指数からエネルギーと飲食...

経済レポート

EU完全離脱後の英国経済-コロナ禍で見え難くなっている離脱の影響-

■要旨
 

  1. 英国がEUから完全離脱してから8カ月が経とうとしているが、コロナ禍が経済活動の大きな変動要因となっているため、離脱の影響は見え難くなっている。
     
  2. GDPの変動は、個人消費が基調を決めており、完全離脱よりも、コロナ対応の行動制限の影響が大きいと思われる。ビジネス投資は、国民投票でEU離脱を選択した時期から基調が弱い。感染が落ち着けば、拡大の勢いを取り戻すのか、コロナ禍と離脱の後遺症が残るのか。潜在成長率につながるだけに注目される。
     
  3. 財の貿易は、コロナ禍と完全離脱による2度の衝撃を受けた。財輸出の伸び悩みは、通商条件の変化等による一時的な現象なのか、サプライチェーン見直しなどによる構造的な変化なのかを現段階で判断することは難しい。
     
  4. 雇用面では、失業率、就業者数はコロナ前に届いていないが、欠員率、賃金上昇率は跳ね上がっている。需給のミスマッチは時間の経過とともに解消すると見込まれているが、EUとのヒトの移動の自由の終了と、技能重視の新移民制度の導入の影響で、人手不足が続くおそれもある。金融業のように業務と共にヒトがシフトする動きも見られる。
     
  5. コロナ禍は、働き方やサプライチェーンを変える契機になると考えられているが、英国の場合、完全離脱と移民制度の変更の影響も加わり、変化が増幅される可能性がある。
■目次

・英国はロックダウンの渦中でEUを完全離脱、新協定と新移民制度が始動
・GDPの変動の主要因はコロナ対応の行動制限
・財貿易はコロナ禍と完全離脱で減少
・サービス貿易縮小の主因はコロナ禍
・雇用情勢は改善、経済活動の本格回復による労働力不足の懸念も
・困難なコロナ禍と完全離脱、移民制度変更の影響の把握英国の欧州連合(EU)離脱後の移行期間が終了し、完全離脱してから8カ月が経過しようとしている。

しかし、完全離脱による英国とEUの間の財、サービス、ヒト、資本の移動の自由度の低下が、英国経済に及ぼした影響を把握することは難しい。20年1月末の正式離脱から現在に至るまで、英国経済はコロナ禍の影響を受け続けている。移行期間終了間際に合意した「貿易協力協定(TCA)」に基づく新たな関係も、EUとのヒトの移動の自由の停止と新たな移民制度も、コロナの変異型(アルファ型)の感染拡大対応の厳しい規制の最中に始動した。コロナ禍が、この間の経済活動の大きな変動要因となっており、離脱の影響が見え辛くなっている。

GDPの変動の主要因はコロナ対応の行動制限

実質GDPは、正式離脱した20年1~3月期は前期比年率マイナス10.9%、4~6月期は同マイナス57.9%と現行の統計で遡れる範囲で最も深い景気後退に陥った(図表1)。2四半期連続の落ち込みは、厳しいロックダウン(都市封鎖)によるものだ。制限が緩和された同年7~9月期は同プラス87.1%に反発したが、完全離脱直後の21年1~3月期に再び同マイナス6.2%に落ち込み、4~6月期は同20.7%に反発と変動が大きくなっている。個人消費が基調を決めており、21年に入ってからの変動も完全離脱より行動制限の影響が大きいと思われる。

固定資本形成も、20年4~6月期に深く落ち込んだ後、大きく反発したが、21年1~3月期、4~6月期は連続でマイナスとなっている。住宅や土地、既存の建物への支出を除くビジネス投資は21年1~3月期の落ち込みがより深く、4~6月期は持ち直したものの反発力が弱く、極めて低い水準に留まっている(図表2)。

ビジネス投資は、16年に国民投票でEU離脱を選択した時期から、それ以前のトレンドよりも明確に基調が弱くなっており、EU離脱が重石となっていることが推察される。今後、コロナ禍の感染状況が落ち着けば、国民投票前のような拡大の勢いを取り戻すのか、コロナ禍と離脱の後遺症が残るのか。潜在成長率につながるだけに注目される。

財貿易はコロナ禍と完全離脱で減少

英国はEUからの完全離脱でEUの関税同盟からも離脱、英国の関税率は、英国独自のグローバル関税(UKGT)に切り替わった。英国とEUの貿易は、関税ゼロ・数量規制なしのFTAを柱とするTCAに基づくものに替わり、第3国との貿易もEUとして自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を締結していた地域との間では、日英包括的連携協定(EPA)などEUのFTAやEPAを叩き台に締結しなおした新協定が発効した。

英国の財の貿易は、コロナ禍と完全離脱による2度の衝撃を受けた。パンデミックで世界的に貿易が落ち込んだ同年4月1に急減した後、一旦回復し、21年初に再び急減した。21年初の衝撃は、輸出入の両面で、EU向け(図表3)が、EU以外との貿易(図表4)よりも大きかった。EUからの輸入は、21年1月の大きな落ち込みの後、回復傾向が続いているが、完全離脱前の水準には達していない。20年末にかけて、移行期間終了による関税や通関手続きの発生、物流の混乱を懸念し、事前に在庫を確保するための輸入が増加していた。21年初の落ち込みには、在庫積み増しの反動という面もある。EU向けの輸出は、大幅な落ち込みの後、完全離脱直前の水準を回復しているが、ビジネス投資のようにコロナ前から停滞気味だった。

英国とEU以外の地域との貿易については、21年初の変化は、EUとの貿易に比べて小幅だったが、輸入には20年4月を底とする回復トレンドが見られるのに対して、輸出は停滞が続いている。

財輸出の伸び悩みは、EUとの通商条件の変化や、ワクチン接種で先行した英国の4~6月期の回復が、他地域よりも力強かったことなどによる一時的な現象であれば、いずれ解消するだろう。しかし、EUによる財の流れに関わる自由度の低下を織り込んだサプライチェーンの変化という、より構造的な変化が生じている可能性もある。

世界的にも、コロナ禍による生産や物流への影響が続いており、一時的な現象なのか、構造的な変化なのかを現段階で判断することは難しい。

サービス貿易縮小の主因はコロナ禍

サービス貿易は、輸出入共に19年7~9月期をピークに減少に転じ始め、20年初に大きく落ち込んだ後も、戻りが弱い(図表5)。

大幅な減少と戻りの弱さの主因はコロナ禍にある。2019年7~9月期と21年1~3月期のサービス貿易の減少のうち、輸出では4割、輸入では5割が「旅行(英国への外国人旅行者と英国人の海外旅行者の宿泊費、飲食費等の受取・支払)」の減少によるものだ。20年初に激減していることからも、コロナ禍の打撃が大きいことがわかる。「輸送(国際貨物、旅客運賃の受取・支払)」も、輸出入の減少の2割強を占めている。コロナ禍による旅行者の減少が主要因と思われるが、完全離脱による通関手続き等の導入も一定の影響を及ぼしている可能性がある。

EU離脱も、コロナ禍より小さいものの、影響を及ぼしている。英国国家統計局(ONS)は、「国際サービス貿易サーベイ(ITIS)」で、21年1~3月期のサービス貿易の変動要因として言及された回数を「コロナ禍」の66回に対して「EU離脱」は13回であったとしている2。英国の主力産業である「ビジネスサービス」、「金融」の貿易も、「旅行」、「輸送」に比べれば幅は小さいが減少している。「ビジネスサービス」と「金融」は、比較的コロナ禍の影響を受けにくい業種であり、EU離脱による金融の単一パスポートの失効、専門資格の相互承認見送りなどへの対応が反映されている可能性はある。サービス貿易に占めるEUとの取引の割合は、特に輸入で低下している(図表6)。EU経済が、他地域よりもコロナ禍で大きな打撃を受けたことによる影響ばかりでなく、後述するとおり、単一市場からの離脱に対応したビジネス・モデルの見直しも一定の影響を及ぼしていることが推察される。

雇用情勢は改善

雇用面でもコロナ禍の影響は大きく、完全離脱による変化が見えづらくなっている。

足もとの雇用関連統計は、失業率の低下、就業者数の増加、求人数の増加、賃金上昇率の加速など、コロナ禍からの回復を裏付けるものとなっているが3、指標によって回復の度合いは異なる。失業率は20年10~12月平均の5.2%でピークアウトし、21年4~6月平均は4.7%まで低下しているが、まだコロナ前(19年11月~20年1月平均)の4.0%を上回っている。就業者数は、21年1~3月平均の3,218.1万人まで減少した後、4~6月期は3,222.9万人に回復したが、コロナ前(20年1~3月期平均)の3,300万人に届いていない。

他方、経済活動の再開で一時的に強く押し上げられている指標もある。求人数は、21年5~7月平均が95.3万件とコロナ前(19年11月~20年1月)の81.3万件を超え、現行統計で最多の水準となった。未充足の求人数に対する常用労働者数の割合(欠員率)も全産業で3.2%と過去最高水準となったが、宿泊・飲食が5.2%、芸術・娯楽・レクリエーションが4.5%と、コロナ禍が直撃した業種で人手不足が目立つ。賃金の伸びは、週平均賃金が21年4~6月期平均で前年同期比8.8%に加速している。英国国家統計局(ONS)によれば、前年同期にパンデミックの影響で、宿泊・飲食、小売りなど対面サービスなど低賃金の雇用が減少したこと4や、一時帰休する従業員の給与を部分給付するコロナ対応の政策支援(CJRS)の利用者が増加した反動など特殊要因が押し上げている5

人手不足や、統計上の賃金上昇率の上振れは、時間の経過とともに緩和することが期待される。段階的に縮小してきたCJRSが、今年9月末に終了し、需給のミスマッチの解消も進むと見込まれるからだ。

だが、EUからの完全離脱が、雇用面でのコロナ禍の後遺症を増幅するリスクもある。完全離脱とともにEUとのヒトの移動の自由は終了し、英国では21年初から新たな移民制度が始動した6。技能を重視するポイント制に基づく新制度の下では、低技能労働者への労働ビザは制限されるため、宿泊・飲食や運送業、食品加工業などの人手不足が深刻化するおそれがある。

政府は、人手不足回避策として産業界が求める低技能労働者対象の短期ビザ制度などには慎重な立場だ7。EUとのヒトの移動の自由の終了と新移民制度を、高賃金、高技能、生産性の高い経済への移行につなげたいと考えているからであり、産業界には、EUからの低賃金労働力依存を脱し、技術と自動化に投資し、新たな環境に適合するよう求めている。
 
3高山武士「英国雇用関連統計(7月)-改善が続き、求人数は過去最高に」(ニッセイ基礎研究所『経済金融フラッシュ』2021年08月18日号)をご参照下さい。
4 労働力調査(LFS)では、公共セクター、医療・ソーシャルワーカーの他、情報通信、金融・保険、専門サービスなどで就業者が増加し、製造業のほか、宿泊・飲食、建設、卸・小売り、運輸・倉庫等で減少している。平均賃金は、雇用が増加した情報通信、金融・保険、専門サービス等で高く、宿泊・飲食、小売り等は、賃金統計の24の業種分類で最も賃金が低いセクターである。なお、金融業は、表紙図表のとおり、PAYE・RTIに基づく集計ではLSFと異なり、増加している。
5Gov. UK ‘Coronavirus Job Retention Scheme statistics: 29 July 2021 Updated 2 August 2021’によれば、20年3月に導入されたCJRSに基づく一時休業者(furlough)は、20年4月のピーク時には880万人に達し、20年6月末時点の682万人であったが、21年6月末時点(暫定値)では186万人まで減少している。
6 新制度ではEU市民とそれ以外の外国人との区別がなくなり、ジョブ・オファー、適切な技能レベルの職業、必要水準の英語能力の必須要件(合計50ポイント)に加えて、年収、不足職業、学歴などの要件に適合し、合計70ポイントを上回ることが必要になる。但し、詳細はThe UK's points-based immigration system: policy statementをご参照下さい。
7 新制度の下でも、農業に従事する季節労働者に最大6カ月間の滞在を認める試験的枠組みの受け入れ枠を設定する緩和措置は設けられている。

困難なコロナ禍と完全離脱

EU市民には、「離脱協定」に基づいて、20年12月末の移行期間終了までに英国に継続的かつ合法的に居住していた場合、「EU定住スキーム(EUSS)」に登録することで、定住資格が与えられることになっている。21年6月末には、EUSSの申請のために設けられた完全離脱後の猶予期間も終了している。英国政府によれば、EUSSには、猶予期間の終了までに601.5万件の申請があり、544.7万件の処理が完了しているが8、登録したEU市民のすべてが英国への居住を継続する訳ではない。最新の人口統計では、19年7月~20年6月の英国の人口6,619.3万人のうち、EU市民は345万人で、EUSSの申請件数を大きく下回っている。EUSSは、移行期間終了時点で5年以上滞在している場合は永住権と同等のSettled(定住)資格が得られ、5年未満の場合はPre-Settled(仮定住)で登録し、滞在が5年に達した時点でSettledステイタスへの切替・申請を行う制度である。処理が完了した申請のうち、定住資格は284.6万件、仮定住は232.9万件を占める。EUSSの申請は、18年8月から試行されており、その後の事情の変化で、すでに英国を離れ、英国に戻る意思を喪失しているケースも含まれる。とりわけ、コロナ禍による就業環境の変化、国境を越えた移動の困難化は、人々の居住や働き方の選択に変化をもたらしていると推察される。

金融業のように業務と共にヒトがシフトする動きも見られる。EUは、EU離脱後の関係として英国が求めた規制や監督体制を同等とし、市場アクセスを認める「同等性評価」に、慎重な立場をとり、完全離脱時も、ごく限られた範囲で、期間を限定した暫定措置に留めた。金融機関は、完全離脱の前から、EU圏内での新規の免許取得やオフィスの拡張などの準備を進め、英国からEU圏内に必要な業務や人員を移した。欧州銀行監督機構(EBA)が今月18日公表した2019年末時点の年間報酬が100万ユーロ(1ユーロ=130円換算で1億3000万円)以上の高額報酬の銀行員に関する統計でも、英国で減少する一方、ドイツやフランス、イタリアなど主要国で増加したことが確認されている9。英国政府統計局(ONS)が、源泉徴収制度(PAYE)のリアルタイム情報システム(RTI)を基に作成している実験統計では、金融・保険業の給与所得者は、コロナ禍の影響が及ぶ以前の2019年夏をピークに減少に転じ始め、行動制限の緩和で全体が急回復に転じた後も、殆ど改善していない(表紙図表参照)。構造的変化が生じた可能性を示しているのかもしれない。

コロナ禍は、世界的に働き方やサプライチェーンを変える契機になると考えられているが、英国の場合、完全離脱と移民制度の変更の影響も加わり、変化が増幅される可能性がある。英国国家統計局(ONS)も、これらの要因が、雇用、人口、移民の流出入にもたらす影響を把握するため、実験統計の活用など、統計の見直し、改善を進めている段階にある。予断を持たずに見て行く必要があろう。
 
8 なお、申請件数は、国籍別にはポーランドが109.1万件、ルーマニアが106.7万件と多く、イタリア54.6万件、ポルトガル41.4万件、スペイン35.3万件と続く。詳細はGov UK ‘EU Settlement Scheme statistics’ をご参照下さい。
9EBA REPORT ON HIGH EARNERS DATA AS OF END OF 2019 EBA/REP/2021/23
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
【関連レポート】 英国EU離脱プロセスの回顧-貿易協力協定の合意から完全離脱後まで-
英国の法人税引き上げを巡る3つの疑問
英国雇用関連統計(7月)-改善が続き、求人数は過去最高に
英EU貿易協力協定発効へ-主権回復の見返りはEU市場へのアクセスの悪化-
欧州経済見通し-景況感急改善で夏以降の回復期待が高まる

経済レポート

英国雇用関連統計(7月)-改善が続き、求人数は過去最高に

8月17日、英国国家統計局(ONS)は雇用関連統計を公表し、結果は以下の通りとなった。   【7月】 ・失業保険申請件数1は前月(230.08万件)から0.78万件減の229.30万件となった(図表1)。 ・申請件数の雇用者数に対する割合は5.7%となり、前月(同5.7%)と同じだった。 【6月(4-6月の3か月平均)】 ・失業率は4.7%で前月(4.8%)から低下、市場予想2(4.8%)より良かった(図表1)。 ・就業者は3227.6万...

経済レポート

英国GDP(2021年4-6月期)-行動制限の緩和でサービス業が改善

8月12日、英国国家統計局(ONS)はGDPの一次速報値(first quarterly estimate)および月次GDPを公表し、結果は以下の通りとなった。   【2021年4-6月期実質GDP、季節調整値)】 ・前期比は4.8%、予想1(4.8%)と同じで、前期(▲1.6%)から増加に転じた(図表1) ・前年同期比は22.2%、予想(22.1%)より上振れ、前期(▲6.1%)から改善した 【月次実質GDP(4-6月)】 ・前月比は4月...