財政・税制

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ふるさと納税はなぜ3割か?-課税状況データを基に最適な返礼品の割合を考える

■要旨 「ふるさと納税の返礼品が一種の還付となっており、所得が多いほど受けるメリットが大きい」という指摘がある。事実、高額納税者ほど、ふるさと納税利用率は高い。 2019年6月から新制度が始まり、返礼品の割合を3割以下に抑えることが厳格化された。返礼品の割合低下により、ふるさと納税によるメリットが低下したが、ほとんどの全ての所得階級において、ふるさと納税利用率は低下しなかった。 「本来返礼品は必要ない」という意見もあるが、「返礼品による制度の定着や...

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ふるさと納税:3割5割は関係ない-2019年度は減少したというのは本当か、その理由は?

今から1年前の話。2019年度のふるさと納税額が7年ぶりに減少に転じたと報道された。しかし、暦年ベースの2019年のふるさと納税額は前年より増加している。2019年度のふるさと納税が減少に転じたニュースは、フェイク・ニュースではないし、2019年のふるさと納税額が増加したことも事実である。図表1は、総務省の「ふるさと納税現況調査」の公表データをグラフ化したものである。なぜ、2019年度のふるさと納税額は前年度より減少したのに(図表1、青色線)、2019年のふるさと納...

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ふるさと納税6割返礼品の効果-2020年度の寄付額増額は一過性のものか?

2020年度のふるさと納税受入額(以下、ふるさと納税額)が2年ぶりに増加した(図表1)。2020年の今頃、2019年度のふるさと納税額が7年ぶりに減少に転じたこと、また2019年6月から始まった新制度の影響であることが報じられていた。新制度とは寄付額に対する返礼品の割合を3割以下に抑える、寄付の募集方法が適切である等の条件を満たさない自治体に対する寄付に対して、税制上の優遇措置を適用しない制度である。上述のような報道を受け、多くの人は「新制度により返礼品の割合(魅力...

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国民負担率は過去最高-高齢化を背景に、今後もさらに上昇するか?

国民負担率は、過去最高となっている。2月に財務省は、2020年度の「国民負担率」を公表した。国民負担率は、個人や企業の所得に占める税金や社会保険料の割合で、公的負担の重さを国際比較する指標に利用する。毎年、昨年度までの実績、今年度の実績見込み、来年度の見通しを示している。この国民負担率について、考えてみよう。国民負担率は、国税や地方税の租税負担と、国民年金や健康保険の保険料などの社会保障負担の合計を、所得で割り算して算出する。所得には、国民所得もしくは国内総生産(G...

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宝くじの法律-日本で、「1等・前後賞合わせて30億円」の宝くじは可能か?

コロナ禍で様々なイベントが中止、延期、無観客となる中、宝くじへの注目度が高まっている。巣ごもり生活でネット購入が浸透して、若者や女性など、購入する層が拡大しているという。 宝くじには、年に5回行われるジャンボ宝くじに代表される普通くじ(開封くじ)やロト、ビンゴ、ナンバーズといった自分で数字を選ぶ数字選択式宝くじ、削ったその場で当たりがわかるスクラッチ(被封くじ)など、いくつかの種類がある。普通くじや数字選択式宝くじは、ネット購入が可能だ。 ところで、宝く...

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制度改正による家計の負担構造の変化から見える課題―低所得層が恩恵を受ける制度設計を―

■要旨 税や社会保障等に関する制度改正は、社会環境の変化に伴って定期的に実施される必要がある。少子高齢化や人口減少、働き方の多様化、家族の標準モデルが専業主婦世帯から共働き世帯へと移り変わるなど、経済社会構造は変化を続けており、その変化に適応した制度が構築されることが望ましいだろう。本稿では、児童手当の見直しなど先行きの制度改正の方向性がすでに示されている2022年までを含めた直近5年間における税や社会保障等に関する制度改正が、家計の負担に与える影響を推計した...

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2021年度税制改正(主に年金関係)について

この原稿が公開される頃には、既に2021年度予算案とその一環としての税制改正法案が決定されていることと思われる。新型コロナ感染症拡大の影響で例年よりもひと月遅れで始まった来年度予算の議論であるが、最終段階では例年通りのペースとなっている。本稿では2021年度予算案の概要を紹介するとともに、年金制度周辺の税制がどう変化していこうとしているか、例年通り確認しておくこととしたい。 2021年度予算については、106兆6,097億円と対前年度+3兆9,517億円と3年...

ふるさと納税6割返礼品の価値-新型コロナウイルス関連の緊急対策との比較

ふるさと納税に伴い提供する返礼品等の調達費用は、寄付額の3割以下でなければならない。しかし、緊急支援の名の下に、到底寄付額の3割とは考えられない返礼品(以下、6割返礼品)が話題になっている。これには、国産農林水産物等販売促進緊急対策の補助事業が関係している。この事業は、民間の販路を活用する取組と業界団体が主体となって実施する取組で構成され、このうち民間による取組は4つの事業から構成される(図表1)。民間による4つの事業の中に「地域の創意による販売促進事業」があり、こ...