高齢者のQOL(生活の質)

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高齢者の生活ニーズのランキング首位は見守り、要介護者の首位は移動サービス(東京23区編)~各区の「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」「在宅介護実態調査」集計結果より~

■要旨 東京23区における高齢者の生活ニーズの優先度を明らかにするため、自治体が介護保険制度の一環として一般高齢者を対象に実施している「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」と、要介護高齢者を対象に実施している「在宅介護実態調査」の結果を集計し、回答を、独自の方法でランキングした。その結果、一般高齢者の生活ニーズの首位は「見守り、安否確認、声掛け」だった。道府県都・政令市編の調査ではランキング6位だったこの項目が、東京都区部ではトップに立ったことの要因の一つには、...

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高齢者の生活ニーズのランキング首位は移動サービス(道府県都・政令市編)~市町村の「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」「在宅介護実態調査」集計結果より~

■要旨 2019年に東京・池袋で起きた高齢ドライバーの暴走事故以降、高齢者の運転免許自主返納や、移動手段確保に社会の関心が高まったように見えるが、高齢者が気軽に利用できる移動サービスの整備は進んでいない。産業界でも、一部の自動車業界やIT業界を除いては、移動サービスに乗り出す例は少ない。その要因の一つには、そもそも移動課題解決が、超高齢社会において最優先課題の一つであることが、官民問わず、十分認識されていないのではないだろうか。そこで筆者は、市町村が介護保険制...

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コロナ禍で低下した高齢者の外出頻度~「第8回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」より

■要旨 新型コロナウイルスの感染拡大以降、外出自粛やライフスタイルの変化によって、人々の移動が減っている。そこで、ニッセイ基礎研究所の「第8回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」では初めて、健康指標の一つである「外出頻度」について尋ね、コロナ前からの変化を分析した。その結果、男性では、外出頻度が「週1回以下」の割合が全年代で1割を超え、70歳代と20歳代では2割に達した。女性でも「週1回以下」の割合が、全年代で1割を超え、60歳代と70歳代では約2割に...

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デイサービス車両は高齢者の移動を支える「第三の交通網」を形成できるか(下)~群馬県発「福祉ムーバー」の取組から~

■要旨 DXやAIは、課題解決のために必要な手段だが、バズワードになっているため、導入自体が目的化している事業者もある。まずは現場で課題を見つけて、必要なところに導入していくという手順が必要である。福祉ムーバーはそのような順序で考えた結果、生まれたサービスであり、地域の課題解決につながる。 福祉ムーバーは、当初はAIを使って開発したが、パラメーターの変更のためにコストが上がったため、使用をやめて、統計を使ったアルゴリズムによるシステムを自社開発した。低コ...

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コロナ禍における高齢者の移動の減少と健康悪化への懸念~先行研究のレビューとニッセイ基礎研究所のコロナ調査から~

■要旨 新型コロナウイルス感染拡大後、人々の移動が減り、高齢者の健康不安が増したことが、先行研究や、ニッセイ基礎研究のインターネット調査によって分かった。 高齢者にとって、積極的に外出(移動)して他者と交流したり、社会参加したりすることは、これまでの先行研究によって、死亡率低下や認知症予防、介護予防等につながることが示唆されてきた。従って、高齢者にとっては、外出自粛が長期化し、習慣化すれば、生活不活発から健康状態が悪化する恐れがある。今後は、感染予防対策...

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AIオンデマンド乗合タクシーの成功の秘訣(下)~全国30地域に展開するアイシン「チョイソコ」の事例から

■要旨 チョイソコ会員の中には、今でも認知症の人達が増えていると見られる。また豊明市のアンケートでは、チョイソコ導入後も依然、移動に不便や不安を感じている高齢者が計4割に上っている。高齢者の外出促進のために導入したチョイソコだが、さらなる高齢化がもたらす課題や、残された課題にも、引き続き対応していかなくてはならない。 今後、チョイソコには、乗客同士のコミュニティ形成に寄与する役割が期待される。対象を限定した乗合サービスで、乗客同士が顔見知りになりやすいか...

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コロナ禍における高齢者の活動の変化と健康不安への影響

■要旨 新型コロナウイルス感染拡大によって、人々の身体活動と社会活動が減少したことが、ニッセイ基礎研究所が2021年12月に実施したインターネット調査で分かった。対象を65歳以上の高齢者に限って見ると、移動時間と運動時間が減少した人が約2割、交際やつき合い時間が減少した人が約6割に上った。これらが減少した高齢者のグループでは、そうではない高齢者のグループに比べて、運動機能や認知機能の低下、うつ症状、孤独・孤立への悪化に対して不安を感じている人の割合が大きかった...

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コロナ禍における高齢者の免許返納と免許更新

■要旨 警察庁の発表によると、2020年の運転免許証の自主返納件数は55万2,381件で、前年より4万8,641件減少した。うち、75歳以上は29万7,452件で、前年より5万2,976件減少した。減少の要因として、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、重症化しやすい高齢者が外出しづらくなった可能性が指摘されている1。 本稿では、コロナ禍における交通事故の状況を紹介し、2020年の高齢者の免許返納状況、および免許更新状況を紹介する。   1...

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長寿社会のデザインとは

新聞に掲載された1本の投稿が、筆者の目を引いた。80歳代の一人暮らしの母親が、新型コロナウイルスの感染拡大後、スーパーへ行くことを嫌がるようになったという娘からの投稿だ1。母親に話を聞くと、マスクを着用した店員の声が聞こえづらく、トレーに置かれた小銭も落としてしまうため、会計時に緊張してしまうのだという。締め括りには、高齢者が焦らずに済むように、急いでいない客専用のレジを設けてはどうか、という提案が述べられていた。長寿化に適応できていない社会のひずみを突くような意見...

WHO「健康な高齢化の10年(2020-2030年)」始まる

世界保健機関(World Health Organization, 以下WHO)が提唱する「健康な高齢化の10年(2020-2030年)」1が始まった。ただ、残念ながら国内ではほとんどその内容が報道されていないようである。それでここでは、WHOが発表した計画の一部を紹介すると共に、この計画を受けて私たちにできることは何かを考えてみたい。   1 https://www.who.int/initiatives/decade-of-healthy-ag...